以前の連載で、普通部から進んだ戸倉さんは「内部進学は争いが生まれにくい」と話していました。しっかり授業を受けてそこそこの成績を取っていれば、行きたい学部を選べる。だから熾烈な競争は起きにくい、と。
重松さんの話は、その頂上だけを切り取ったものです。塾高から医学部に進める枠は、本人の記憶では学年の数%。順位表は公表されないのに、上位層は互いの位置を把握していた。そして、成績がいいのに志望を隠す「ステルス」が、いちばん怖かった。
もう一つ、重松さんが「僕はマジで珍しい中間層です」と言う話があります。本人の周りでは、幼稚舎から上がった子の学力差が大きく見えたそうです。その理由として本人が挙げたのは、受験組の学力でした。
連載第7回は、内部進学の頂上で起きていた競争と、重松さんの目に映った幼稚舎組と受験組の学力差を聞きます。なお、いずれも重松さんが在学した当時の一人の体感であり、学校が公表している情報ではありません。枠や順位の数字も本人の記憶によるものです。
話し手:重松さん(仮名) 聞き手:インタビュアー / PenBridge
塾高から他大学へ行くのは、ほぼ医学部志望
インタビュアー: 塾高から慶應以外の大学に行く人はいますか?
重松さん: います。医学部に行くケースですね。家が医学部じゃないと許さない、という人が多いので。
インタビュアー: 慶應の医学部に内部進学できる枠は?
重松さん: たしか20人くらいだったと思います。学年700人ちょっとのうちの20人なので、数%です。
インタビュアー: その枠を狙う人たちの競争は、相当なものですか。
重松さん: ガチですよ。
順位表はないのに、上位層は互いを把握していた
インタビュアー: 順位は公表されるんですか?
重松さん: 出ないです。出ないんですけど、トップ層はもう互いに把握していて、あいつが1位、あいつが2位、あいつは今年9科目トップを取っている、みたいな話が出てきます。それが20位、30位くらいまで、なんとなく付けられている。
インタビュアー: 公表されないのに、どうしてわかるんですか?
