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部活・行事

1学年約700人、授業は少なめ、あとは自由。塾高で電子工作と無線に打ち込んだ3年間

電子工学研究会でのものづくり、アマチュア無線、週1のゆるいバスケ部B。自由な塾高の過ごし方を戸倉さんに聞きます。

2026.07.09慶應義塾高等学校
明るい部室の窓辺で、二人の学生が手作りの無線機を一緒に試す和紙コラージュ風のイラスト

慶應義塾高校、通称「塾高」。普通部・中等部からの内部進学者と高校受験組が合流する、1学年約700人の男子校です。

普通部から塾高に進んだ戸倉さん(仮名)は、高校の3年間を「電子工作とプログラミング漬け」で過ごしました。授業時間が少なく、自由度の高い塾高で、生徒たちは何をして過ごしているのか。その実際を聞きます。

話し手:戸倉さん(仮名) 聞き手:インタビュアー / PenBridge

クラスメートの名前を覚えるだけで、1ヶ月かかる

インタビュアー: 普通部から塾高に上がると、環境は変わりますか?

戸倉さん: 人数がまず違います。普通部からの内部進学に加えて、中等部からの進学組と高校受験で入ってくる人たちが合流するので、1学年約700人になるんです。クラスメートの名前を覚えるだけで1ヶ月くらいかかりました(笑)。

インタビュアー: 700人だと、卒業まで話したことのない同級生もいそうです。

戸倉さん: 全然います(笑)。クラス単位で何かをする機会はあまりなくて、一番仲良くなるのは部活単位ですね。

授業は少なめ。「余った時間で、好きなことを」

インタビュアー: 塾高の授業は、どんな感じなんですか?

戸倉さん: 授業時間がかなり少ないんです。日本でも有数に少ないんじゃないかと言われるくらいで、土曜日も休みです。慶應の一貫校でも、志木高や女子高、SFCの高等部には土曜授業があるので、塾高は特に少ない方だと思います。

インタビュアー: それはどういう方針なんでしょうね。

戸倉さん: 「余った時間で、自分のやりたいことをやれ」という方針なんだと思います。部活に打ち込む人、外でサッカーチームに入っている人、アルバイトをする人。僕も接客のアルバイトを経験しました。時間の使い方は本当に人それぞれでした。

電子工学研究会 — 無線の免許を取り、屋上にはアンテナ

インタビュアー: 戸倉さんは何部だったんですか?

戸倉さん: 電子工学研究会です。電子工作をしたり、プログラミングをしたり、ものづくり中心の部活です。授業中も含めて、ずっと何かしら作っていました(笑)。

インタビュアー: 特徴的な活動はありますか?

戸倉さん: アマチュア無線ですね。歴史の深い部で、毎年みんなで無線の免許を取るんです。校舎の上には無線用のアンテナがあって、高校がこの設備を持っているのはけっこうめずらしいと思います。何十年も前の通信記録が残っていたりして、歴史を感じました。

インタビュアー: 実際に交信もしたんですか?

戸倉さん: 免許を取って、一応やってはみました。僕らの世代はもうスマホで連絡が取れてしまうので日常的には使いませんでしたが、50年、60年前は活発だったみたいですね。

「バスケ部B」という文化

インタビュアー: 部活の選択肢も幅広いんですか?

戸倉さん: 幅広いです。面白いのは、たとえばバスケ部にAとBがあることですね。Aは本格的に活動する方で、Bは週1くらいでゆるく集まってバスケを楽しむ方。「ガチでやりたい人」と「楽しくやりたい人」の両方に居場所があるんです。1学年700人いるからできることだと思います。

インタビュアー: 授業の仕組みはどうですか?

戸倉さん: 高2で第二外国語を選択します。僕はフランス語でした。高3になると文系・理系を選んで、さらに選択科目もあるので、感覚としては大学に近いです。若い先生の授業は特に自由な雰囲気でしたね。

男子校は「合理的に生活できる環境」

インタビュアー: 普通部から6年間、男子校で過ごしてみてどうでしたか?

戸倉さん: 僕はすごく良かったと思っています。男子しかいない環境って、考えることが少ないんですよ。おしゃれで競うこともないし、雑念なく、趣味だけ、勉強だけ、と一つのことに集中できる。すごく合理的に生活できる環境だなと思います。

インタビュアー: 成績をめぐる競争はどうですか?

戸倉さん: 受験がないので、熾烈な争いはあまり生まれないんです。争うとしたら成績くらいですが、それも一部の人たち以外はそこまでではない。僕みたいに、頭の中でいろいろ考えず一つのことに没頭したいタイプには、すごく合っていた環境だと思います。

PenBridge編集部より

塾高の特徴は、「授業が少なく、自由な時間が多い」という設計にあります。電子工作と無線に打ち込んだ戸倉さん、本格派とゆるやかな愛好会が共存する部活文化、アルバイトや校外活動をする生徒たち。約700人という規模が、多様な過ごし方を可能にしています。

ただし、この自由には両面があります。戸倉さんのように打ち込むものを見つけた生徒にとって、塾高の3年間は「好きなことを深める時間」になります。一方で、やりたいことがまだ見つかっていない生徒にとっては、時間だけが過ぎていくこともあり得ます。自由な学校とは、「何をするかを自分で決められる子」に力を発揮させる場所です。

保護者としては、成績表だけでなく、「今、何に打ち込んでいるのか」に関心を持つことが、この学校では特に大切になります。熱中しているものがあるなら、それが勉強でなくても、まずは応援する。その姿勢が、自由な環境を活かす土台になります。

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