塾高に入ってよかったと、いちばん思った瞬間はいつか。高木さんの答えは、高3の最後でした。大学受験がないので、受験勉強に追われずに、夏まで部活をやり切れたことです。
ただ、大学まで見えていることには、別の面もあります。高校に入ってから、高木さんは「一気に怠惰になった」と笑います。
連載最終回は、大学受験のない塾高の3年間と、大学に入った今の話です。
話し手:高木さん(仮名) 聞き手:インタビュアー / PenBridge
高3の夏まで、部活をやり切れた
インタビュアー: 塾高に入ってよかったと、いちばん思ったのはいつですか?
高木さん: 本質的な話ではないかもしれないですけど、高3の最後に、受験に追われなかったことです。最後まで部活をやり切れました。夏まで思いっきりテニスができて、インターハイで3位に入ったり、国体にも出られたり。国体は10月なので、普通なら受験の真っ最中ですよね。
インタビュアー: 引退したあとは?
高木さん: それまで部活漬けだった分、遊べましたし、免許も取れました。それを全部両立できたのは、ほかの学校ではできなかったと思います。そこは本当によかったです。
全体練習は6時まで、部室を出るのは8時
インタビュアー: 塾高の部活は、練習時間も長いんですか?
高木さん: 今考えると、拘束時間はかなり長かったです。全体の練習は3時から6時くらいなんですけど、そのあとはみんなフリー練習なので、結局部室を出るのは8時ごろでした。
インタビュアー: いちばんの思い出は?
高木さん: 関東大会で優勝したことですね。塾高は部活ごとにまとまる学校なので、休みの日に遊ぶのも部活の仲間でした。
大学まで見えると、勉強のやる気は出ない
インタビュアー: 中学までと比べて、勉強への向き合い方は変わりましたか?
高木さん: 高校に入ってからは、一気に怠惰になりました(笑)。大学まで見えてしまったので。血眼になって勉強しているのは、医学部を目指すような人くらいです。行きたい学部がある人は最初から頑張るんでしょうけど、それ以外だと、本当にモチベーションがないんです。
インタビュアー: 塾高に入るなら、やりたい部活があるとか、自分のお尻を叩ける人でないと難しい?
高木さん: 間違いないです。入ってから、やりがいを見つけるのが大変、という意味で。とはいえ、それも贅沢な悩みなので、そこを心配して塾高を避ける必要はないと思います。
留年は「毎年1クラス分」と言われていた
インタビュアー: 一般入試で入ってきた人と、推薦で入ってきた人とで、違いはありますか?
高木さん: 地頭という意味では、もちろん差はあると思います。でも塾高の定期試験は、頑張った人が点を取るだけの仕組みなんです。時間をかけた人が取れる。
インタビュアー: 留年する人もいるんですか?
高木さん: 塾高は、留年がかなり多いんです。毎年1クラス分くらい出る、と言われていて。だから、1クラスに2人くらいは、1つ上の学年から来た人がいます。
インタビュアー: どんな人が留年するんですか?
高木さん: あくまで僕の周りの話ですけど、ほとんどが一般入試で入った人で、あとは内部から上がってきた人でした。推薦入試で入って留年した人は、僕は知らないです。一般入試の人は、受験で燃え尽きて、やる気がなくなってしまうこともあるんだと思います。だから、自分で頑張れる人じゃないと厳しい。
インタビュアー: スポーツをしている人は、意外としぶといんですね。
高木さん: そうですね。これ以上はまずい、というラインへの嗅覚があるんです。危機感が出たら、2学期で成績を上げてくる、とか(笑)。
大学でも、テニス中心の生活
インタビュアー: 今は、大学で何をしているんですか?
高木さん: 商学部に在籍していて、ゼミにも所属しています。それと、体育会のテニス部にいます。文武両道とはいえ、小さいころからずっとテニス中心の生活をしてきたので、それは今も続いています。
インタビュアー: 塾高で身についたことはありますか?
高木さん: 少ない時間で、留年しないように要領よくやる力ですね(笑)。大学でも、それをフルに発揮しています。今は4年生で、テニスに打ち込んでいます。
PenBridge編集部より
高木さんが塾高に入ってよかったと感じたのは、大学受験がないからこそ、高3の夏まで部活に打ち込めたことでした。ほかの高校なら受験の真っ最中になる10月に、国体にも出ています。推薦入試で評価された活動を入学後も続けるよう、学校から求められることはありません(塾高Q&A)。高木さんは自分でテニスを続けることを選び、その時間を最後まで使い切りました。
その一方で、大学まで見えていると、勉強のやる気をどう保つかは本人に任されます。塾高Q&Aでは、成績面に限っていえば、3年間とも進級できる成績であれば慶應義塾大学への推薦を受けられる、と説明されています。進級できるかどうかが、大きな分かれ目です。「毎年1クラス分」という留年の人数は、学校が公表している数字ではなく、高木さんが在学中に聞いていた話です。留年したのは一般入試や内部進学で入った人が多かった、というのも高木さんの周りでの話ですが、受験をゴールにしてしまうと入学後に燃え尽きることがある、という指摘は、慶應女子に進んだ松尾さんの話とも重なります。
中学では週6日のテニスを続けながら評定38を取り、推薦入試で塾高へ。塾高では大学受験のない時間を部活に使い切り、今も大学の体育会でテニスを続けています。勉強に向ける熱量は時期によって大きく変わりましたが、テニスを軸にした生活は、小学生のころから一度も変わっていません。
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