書類審査に通ると、推薦入試は第2次選考に進みます。高木さんの年は、作文、集団討論、個人面接の3つを1日で受けました。
高木さんが「合格につながった」と振り返るのは、集団討論です。テーマは「大人と子どもの違い」。議論が薄くなりかけたところで、高木さんは、話す内容そのものを変えようと提案しました。
連載第4回は、推薦入試の第2次選考の話です。
話し手:高木さん(仮名) 聞き手:インタビュアー / PenBridge
作文のお題は「あなたを漢字一字で表すと」
インタビュアー: 作文では、何を書いたんですか?
高木さん: 僕の年のお題は「あなたを漢字一字で表すと何か」でした。僕は「粘」、粘るという字を書きました。自分のプレースタイルのことと、文武両道でかなりきついスケジュールでも頑張ってこられた、自分の性格のことを書いて。
インタビュアー: 今振り返ると、どうですか?
高木さん: ひねりのない、あまり面白くない書き方だったと思います(笑)。
インタビュアー: 作文の対策は、どうしていましたか?
高木さん: 前回話した塾の塾長に見てもらっていました。その場でお題を見て、時間内に書いて、添削してもらう。それを続けていました。あとは、面接練習に単発で2、3回行きました。
当日の順番は、グループによって違う
インタビュアー: 3つは、どんな順番で受けるんですか?
高木さん: 順番はグループによってバラバラです。僕は、作文、集団討論、個人面接の順だったと思います。自分にとっては、いちばんいい順番でした。最初が個人面接の人もいます。
受験生6人で20分、面接官は「いるだけ」
インタビュアー: 集団討論は、どんな形式でしたか?
高木さん: 話すのは受験生どうしで6人、面接官は3人だったと思います。面接官が「机の上の紙を表にしてください」と言うと、そこにお題が書いてある。考える時間が1分あって、始めの合図のあとは、誰かが口火を切る。役割は決めてもいいし、決めなくてもいい。面接官は本当にいるだけで、時間は20分くらいでした。
インタビュアー: 就職活動のグループディスカッションのような?
高木さん: そうですね。就活のグループディスカッションを、ぐっと簡単にしたような感じです。
「大人と子どもの違い」で起きたこと
インタビュアー: 「大人と子どもの違い」では、どんな議論になったんですか?
高木さん: 最初は大人と子どもの定義から始まって、まず、大人とはこういうものです、という話をしたんです。次に、子どもとはこういうものです、という話になったんですけど、それが大人の反対を言っているだけで。大人には責任感がある、だから子どもには責任感がない、みたいな。すごく薄っぺらい議論になってしまったんです。
インタビュアー: そこで、どうしたんですか?
高木さん: 「この議論は時間を無駄にするだけなので、やめましょう」と言いました。代わりに提案したのが、成人年齢の引き下げの話です。選挙権の年齢も下がりましたよね。どちらも、大人と子どもの境界線を動かす話なので、今そういう動きがある中で、世の中で何が起きているのかを話しませんか、と。そこから議論を展開していって、それが最後に合格につながったと思っています。
インタビュアー: その展開は、練習していたんですか?
高木さん: 練習していたのは、議論全体の進め方です。あの提案は、正直ひらめきです。誰も思いついていなくて、しかも議論が深まる話を、たまたま思いつけた。運もありました。
個人面接で聞かれた「名前の由来」
インタビュアー: 個人面接は、どうでしたか?
高木さん: 受験生1人に面接官2人で、15分くらいだったと思います。本当にいろいろ聞かれました。テニスのことも聞かれましたし、すごく印象に残っているのは、名前の由来を聞かれたことです。
翌年から、集団討論がなくなった
高木さん: 僕の年までは、面接は集団討論と個人面接の2回で、それに作文、というのが例年の形でした。でも、僕の次の年から、個人面接が2回になったんです。
インタビュアー: 集団討論が、なくなった?
高木さん: ちょうど僕の年のころに、コロナが広がって。こういう密になる場はよくない、となったんだと思います。コロナが落ち着いても、その形のままらしくて。面接が2回あることは知られているので、受験生は集団討論の練習もしていくんですけど、行ってみたら今年もなかった、となるみたいです。今どうなっているかは、正直わかりません。
インタビュアー: 集団討論は、あったほうがよかったと思いますか?
高木さん: 僕は、すごくよかったと思います。塾高らしい試験だったので。個人面接だけだと、何で差がつくのか……。
インタビュアー: 面接官との相性や、好き嫌いになってしまう?
高木さん: そうなんです。就活みたいですよね。
PenBridge編集部より
2027年度の推薦入学試験要項では、第2次選考は「面接・作文」と書かれているだけで、面接の形式や回数は示されていません。高木さんの年にあった集団討論が翌年からなくなり、個人面接が2回になった、というのは高木さんが聞いている話です。受ける年の形式は、学校説明会などで確かめてください。
作文のテーマや文字数は、要項でも当日発表とされています。高木さんが続けていた、その場でお題を見て時間内に書き、添削を受ける練習は、今の入試にもそのまま使える準備です。要項には、面接で自分の特技を行ってもらう場合があり、その場合は第1次合格発表の日に連絡する、とも書かれています。
集団討論で高木さんがしたのは、議論が浅くなっていることに気づいて、もっと深まる問いを出すことでした。成人年齢を18歳に引き下げる改正民法は2018年に成立し、2022年4月に施行されています。高木さんが受験したのは、その成立から施行までの間でした。面接の形式が変わっても、聞かれたことをその場で考え、世の中の動きと結びつけて自分の言葉で話す準備は役に立ちます。名前の由来のように、活動とは関係のない質問が来ることもあります。
次回からは、入学してからの塾高の話です。
