高木さんが通っていた神奈川県の国立大学の附属中学校は、東京の自宅から電車で片道1時間半の場所にありました。授業が終わればテニススクールへ向かい、家に着くのは夜10時半。土日は試合です。テニスは中3の夏まで、週6日続けました。
それでも高木さんは、成績のつけ方が厳しい中学校で評定を取り続け、塾高の推薦入試に出願できるところまでたどり着いています。勉強の時間は、どこにあったのか。返ってきたのは、電車と、ゲーム機のない家の話でした。
連載第2回は、中学3年間の両立の話です。
話し手:高木さん(仮名) 聞き手:インタビュアー / PenBridge
6時半に起きて、帰宅は夜10時半
インタビュアー: 中学時代は、どんな毎日でしたか?
高木さん: 人生でいちばん忙しかった時期です。朝6時半に起きて、7時前には家を出る。学校までは電車で片道1時間半です。学校が終わったら急いでテニススクールに行って、家に帰ってくるのは夜10時半くらい。次の日はまた6時半に起きて、土日は試合でした。
インタビュアー: テニスは週に何日ですか?
高木さん: 週6日です。中3の夏まで、最後までやり切りました。意識の高い子は中2の初めから塾に通って受験勉強をしていましたけど、僕はその時間も、ずっとテニスでした。
勉強は、電車の中で
インタビュアー: 勉強は、いつしていたんですか?
高木さん: 本当に、ひたすらやるだけなんですけど……。大きかったのは電車ですね。片道1時間半あるので、その間はずっと教科書を読んでいました。宿題もやりましたし、試験前は時間があればずっと勉強していました。
インタビュアー: 今の中学生なら、電車ではスマホを見ていそうです。
高木さん: 今は僕もスマホを見ちゃうので、もうあの生活には戻れないです(笑)。
ゲーム機は買ってもらえず、スマホは高1から
高木さん: うちはまず、ゲーム機を買ってもらえない家だったんです。
インタビュアー: なかなか厳しいですね。
高木さん: スマホをもらえたのも高1からです。中2くらいから、SIMの入っていないAndroidは渡されていたんですけど、SIMがないので家の中でしか使えなくて、外ではガラケーでした。だから、テニスと勉強の2つ以外に、時間を使っていなかったんです。今だったら信じられないですけど。
インタビュアー: 振り返ってみて、どう思いますか?
高木さん: 意外と、感謝しています。というか、感謝しかないです。ゲームを、僕から全部奪ってくれていたので(笑)。ゲーム機やスマホがある状態だったら、あんなに頑張れなかったと思います。
やり直せるとしても、変えたいところはない
インタビュアー: 中学時代をもう一度やり直せるとしたら、変えたいところはありますか?
高木さん: それが、ないんです。義務教育から高校、大学まで、塾のことも含めて、これ以上ない完璧な人生を歩んできたという自負があって(笑)。
インタビュアー: 完璧、ですか。
高木さん: 塾に行かずに中学受験をして、学費も安い国立の中学校に入って。中学では、学校のある地域について学ぶ授業や、地域の人へのインタビューがあって、友達も、住んでいる東京とは別の地域に広がりました。勉強は塾高の推薦入試に出願できるだけの評定を取り続けて、テニスは週6日、最後の夏までやり切った。勉強していないじゃないか、と言われるかもしれないですけど、レベルの高い学校で評定を取り続けたので。両立という意味では、全部いいとこ取りができたと思っています。
PenBridge編集部より
高木さんの中学時代は、週6日のテニスに片道1時間半の通学が重なる生活でした。その中で勉強の時間になっていたのが、電車の中です。ゲーム機がなく、スマホも家の中でしか使えなかったので、通学時間がそのまま教科書を読む時間になっていました。
ゲーム機やスマホをいつ持たせるかは、家庭ごとに考え方があります。ただ、高木さんの場合は、テニスと勉強のほかに時間を使う先がなかったことが、両立を支えていました。本人も「ある状態だったら、あんなに頑張れなかった」と振り返っています。
もっとも、評定が最後まで楽に取れていたわけではありません。成績のつけ方が厳しい中学校で、中3のときは、推薦入試の出願資格である評定合計38の前後をうろうろしていたといいます。次回は、その38を越えるまでと、推薦入試の志願書の話です。
