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学校理解・学校選び

「中3の12月に、やっぱり慶應女子に行きたいと思ったんです」。公立トップ校を目指していた松尾さんの高校受験

週5日のバスケ部と塾を両立しながら、神奈川の公立トップ校を目指していた松尾さん。中3の夏には慶應女子も志望校に入れていましたが、第一志望を変えたのは12月でした。公立中心の塾では手が届かない対策をどう補ったのか、入試までの2か月を聞きます。

2026.10.27慶應義塾女子高等学校
冬の光が差す机に、使い込んだ過去問や付箋、鉛筆、湯気の立つマグカップが並ぶ淡い水彩風イラスト

慶應義塾女子高等学校(以下、女子高)は、東京・三田にある慶應義塾の一貫教育校です。中等部から上がってくる生徒に加えて、毎年、高校受験で入ってくる生徒がいて、入学後は同じクラスで学びます。2027年度の一般入試の募集人数は約70名で、試験は国語・英語・数学・作文の筆記試験です。面接はありません。

今回話を聞いたのは、高校受験で女子高に入り、現在は慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパス(SFC)に通う3年生の松尾さん(仮名)です。神奈川県の国立大学附属の小・中学校に通い、中学ではバスケ部と塾を両立しながら、ずっと公立のトップ校を目指して勉強してきました。中3の夏には女子高も志望校に入れていましたが、第一志望を公立の翠嵐から女子高に変えたのは、12月だったといいます。

連載では、松尾さんの高校受験と、入学してから過ごした女子高の3年間を、8回に分けて聞いていきます。第1回は、第一志望を切り替えるまでの話です。

話し手:松尾さん(仮名) 聞き手:インタビュアー / PenBridge

小学校から中学校へは、全員が上がれた

インタビュアー: 中学校は、どんな学校だったんですか?

松尾さん: 神奈川にある国立大学附属の小中一貫校に通っていました。小学校から中学校へは簡単な試験を受ければ全員上がれるんですけど、その先の提携の高校への枠は少ないので、みんなそれぞれ他の高校を選んで受験する学校でした。

インタビュアー: 中学での成績は、どうでしたか?

松尾さん: 中学の中では、よいほうだったと思います。

小4から塾へ。目標は神奈川の公立トップ校

インタビュアー: 高校受験の勉強は、いつごろから始めたんですか?

松尾さん: ちょっと特殊で、参考にならないかもしれないんですけど、小4くらいから塾に行っていました。

インタビュアー: 小4から。中学受験はしないのに、ですか?

松尾さん: はい。大手の塾の、中学受験のコースに通っていたんです。やっていたのは中学受験の内容なんですけど、それが高校受験にも生きるだろう、ということで。中1からは同じ塾の高校受験のコースに移って、ずっと神奈川県の公立のトップ校、横浜翠嵐を目指していました。

インタビュアー: 中学に入ってからは、どれくらい勉強していたんですか?

松尾さん: 中2くらいから、本当にバリバリという感じでした。夏休みはなかったというか、ほぼ夏期講習で埋まっていました。時間で言えば、めちゃくちゃ勉強していました。目指していたところが簡単ではなかったので。

週5日のバスケ部と、塾の両立

インタビュアー: 中学時代は、ほとんど勉強だったんですね。

松尾さん: 勉強しかしていなかったように聞こえますけど、バスケ部の活動もすごく大きかったんです。平日3日と土日で、週5日部活があって。平日は、学校の授業のあとに部活、それから塾、というハードスケジュールでした。中3からはコロナで部活動が制限されたので、そこからはほぼ勉強に専念できました。

インタビュアー: 振り返ってみて、大変でしたか?

松尾さん: 思い出したくないくらい大変でした(笑)。高校受験のときは、何回も泣きました。

中3の12月、「やっぱり慶應女子に行きたい」

インタビュアー: 女子高を考えはじめたのは、いつごろだったんですか?

松尾さん: 中3の夏ごろには、もう女子高も志望校に入れていました。でも、第一志望を翠嵐から女子高に変えたのは12月です。もうギリギリの段階で、やっぱり慶應女子に行きたいと思って。そこから2か月、ガッとやりました。

インタビュアー: 12月。入試まで2か月ですね。同じ塾に、最後まで通っていたんですか?

松尾さん: 通っていました。でも、その塾は公立がメインのところだったので、慶應女子の対策は、先生も専門ではなくて。

公立中心の塾では、女子高の対策が手薄だった

インタビュアー: では、どうやって対策したんですか?

松尾さん: 家庭教師をお願いしました。親が見つけてきてくれた人で、もともと大手の塾で、慶應女子の対策をする部門にいた講師の方です。今はもう塾は辞めているんですけど。

インタビュアー: 慶應女子の対策に特化した部門があるんですね。

松尾さん: あるんです。慶應女子を目指す人の多くが通う大手の塾に、そういう部門があって。

インタビュアー: その先生とは、何をやったんですか?

松尾さん: 数学だけです。私は数学に苦手意識があったので、数学だけを教えてもらいました。2か月間、ずっとです。

インタビュアー: 国語と英語は、その先生はノータッチだったんですね。

松尾さん: はい。数学だけでした。

受験は5校の予定だった

インタビュアー: 女子高のほかには、どこを受験する予定だったんですか?

松尾さん: 早稲田本庄と、私立の併願校です。神奈川だと、私立の併願校を作っておくのが当たり前で。内申点で合格の内定がもらえて、一応テストも受けるんです。

インタビュアー: 行き先がなくなったら困りますもんね。

松尾さん: あと、公立の翠嵐と、東京学芸大学附属高校も受ける予定でした。でも、どちらも試験日より先に女子高の合格がわかったので、翠嵐の受験はやめて、学芸大附属も試験を受けずに辞退しました。予定では、女子高、翠嵐、早稲田本庄、私立の併願校、学芸大附属の5校でした。

公立の勉強と、女子高の勉強は「全然違う」

インタビュアー: 公立に向けた勉強と、女子高の対策は、そんなに違うものなんですか?

松尾さん: 全然違います。

インタビュアー: 何が違うんでしょう。

松尾さん: 特に数学ですね。なんて言えばいいんだろう……通貨が違う、という感じです。

インタビュアー: 通貨。その話は、次回じっくり聞かせてください。

PenBridge編集部より

松尾さんが第一志望を女子高に変えたのは、中3の12月でした。夏ごろから志望校の一つではありましたが、女子高に向けて「ガッと」勉強したのは、12月から入試までの2か月です。それで合格までたどり着いた背景には、小4から塾に通い、中1・中2は週5日のバスケ部と塾を両立し、部活が制限された中3からは勉強に専念してきた積み上げがあります。12月に第一志望を変えても間に合う、という話ではありません。公立のトップ校に向けて鍛えてきた力に、女子高の対策を足したのがこの2か月だった、と読むのがよいと思います。

足し方にも特徴がありました。通っていた塾は公立中心で、女子高の対策は専門外でした。そこで松尾さんは、塾には最後まで通いながら、苦手だった数学だけを、女子高の対策を知る家庭教師に任せています。足りない部分だけを外から補う形です。

松尾さんが「全然違う」と言う公立入試との違いは、次回、数学の話から聞いていきます。2027年度の入試の日程や方式は、慶應女子高の受験対策ページにまとめています。

連載記事

松尾さんインタビュー

第1回表示中

「中3の12月に、やっぱり慶應女子に行きたいと思ったんです」。公立トップ校を目指していた松尾さんの高校受験

週5日のバスケ部と塾を両立しながら、神奈川の公立トップ校を目指していた松尾さん。中3の夏には慶應女子も志望校に入れていましたが、第一志望を変えたのは12月でした。公立中心の塾では手が届かない対策をどう補ったのか、入試までの2か月を聞きます。

第2回

「数学は、通貨が違うんです」。公立入試の数学が得意だった松尾さんが、慶應女子の数学で20年分の過去問を解くまで

神奈川の公立入試の数学はできたのに、私立の高校入試の数学になると手が止まった。松尾さんはその違いを「通貨が違う」と表現します。苦手に気づいたきっかけ、家庭教師と数学だけに絞った2か月、20年分解いた過去問の話を聞きます。

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第3回

「品詞分解問題」は、過去問を見て自分で気づいた。国語が得意だった松尾さんの慶應女子対策と、マンモスの作文

国語は「学校の内容の超難しいバージョン」。それでも、過去問から毎年のように出ている文法の問題に気づき、塾の先生に例題を作ってもらった松尾さん。最後の科目で書いたマンモスの作文まで、国語と作文の準備を聞きます。

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第4回

「女子高の受験は、宝くじを引く感覚なんです」。慶應女子に合格した松尾さんが、どうしても伝えたかった運と相性の話

「勉強は、宝くじが当たる可能性を上げるだけ」。松尾さんが受験生にどうしても伝えたかったのは、家庭教師の先生から聞いたこのたとえでした。判定がよくても落ちることがある理由と、問題構成が変わった本番で引いた「いいくじ」の話を聞きます。

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第5回

自信があった英語で「落ちた」と思って帰った入試の日。直前の2か月、英語に触れなかった松尾さんの反省

自信があった英語には、受験直前の2か月ほとんど触れなかった。本番では手が止まり、自己採点の途中で「落ちた」と思って帰った松尾さん。合格のあとも残った苦手意識と、数学は20年分・英語はゼロだった過去問の進め方を、反面教師として聞きます。

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第6回

「みんな、お互いを認めている空気があった」。高校受験で慶應女子に入った松尾さんが語る、女子高の友人関係と先生

「周りにいる人が全員優秀だから、刺激される」。高校受験で慶應女子に入った松尾さんに、生徒どうしの関係、厳しめの校則、どの代からも慕われる先生、中等部から上がってきた同級生との距離を聞きます。

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第7回

「今でも仲良くしています」。ゲームでつながった友達と、卒業しても続く慶應女子の仲間

女子高の3年間、松尾さんがよく一緒に過ごしたのは、ゲームでつながった中等部出身の友達でした。今年の十月祭にも集まった同級生、卒業生に届く女子高の便り、SFCでの女子高出身どうしのつながりまで、卒業しても続く友達の話を聞きます。

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第8回

「SFCで脳の勉強ができるとわかって、すぐ志望を変えました」。慶應女子の選択授業で進路を決めた松尾さんの学部選び

脳の勉強がしたい。でも医学部は難しいから、薬学部か理工学部へ。そう考えていた松尾さんの進路を変えたのは、3年生の選択授業に来たSFCの先生でした。2年生から組む選択科目、医学部の枠、年によって人気が動く学部の話を聞きます。

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