前回、松尾さんは本番の問題を「何もかも、私と相性が良すぎる問題構成だった」と振り返り、「英語以外は」と付け加えました。
英語は、もともと得意なつもりだった科目です。だからこそ、第一志望を女子高に変えた12月から2月の入試まで、ほとんど手を付けませんでした。本番で何が起きたのか。合格したあとに何が残ったのか。松尾さんは「反面教師として使っていただければ」と話してくれました。
連載第5回は、英語の話です。
話し手:松尾さん(仮名) 聞き手:インタビュアー / PenBridge
できていると思って、一切勉強しなかった
インタビュアー: 英語は、どうだったんですか?
松尾さん: 英語は、自分はできていると思って一切勉強しなかったら、当日本当に全然解けなくて。あ、落ちたと思って帰りました。
インタビュアー: それまでは、できていたんですよね。
松尾さん: それまでの勉強ではできていました。でも、女子高に向けて勉強を始めるぞとなった12月から2月までの2か月間、ほぼ英語に触れなかったら、ダメになっちゃいました。
インタビュアー: 直前に、英語の過去問を1回解いてみる、ということも?
松尾さん: あまりやらなかったです。数学だけをがんばらなきゃ、と思っていて、英語は頭から外れていました。
「自信あります」と言ってしまった
インタビュアー: 家庭教師の先生は、英語について何か言わなかったんですか?
松尾さん: 英語は大丈夫かと聞かれて、「自信あります、大丈夫です」と言っちゃったんです。
インタビュアー: 受験生本人の「大丈夫」を、先生がどこまで信じるか。難しいところですね。
松尾さん: 落とし穴でした。数学だけが本当に不安すぎて、英語をやっている暇があるなら数学をやりたい、という感じだったので。
自己採点で、丸が見えなかった
インタビュアー: 試験のあと、自己採点はしたんですか?
松尾さん: しました。試験が終わったら、すぐ塾で自己採点をするんです。国語と数学はすごくよくて、国語は先生の丸の付け方次第ですけど、90点を超えていました。
インタビュアー: 英語は?
松尾さん: しばらく丸が見えなくて。途中で採点をやめて帰りました。
インタビュアー: 半分も取れていない感じですか?
松尾さん: 絶対いっていないと思います。途中でやめたので、本当のところはわからないですけど。それで、もう英語で落ちたと思って帰ったら、受かっていました。
合格しても、苦手意識は消えなかった
インタビュアー: 合格したあと、英語はどうなったんですか?
松尾さん: 苦手意識が、もう拭いきれなくて。自分は英語ができないんだ、という思いのまま、女子高の3年間を過ごしちゃいました。
インタビュアー: 2か月触れなかったことが、そこまで尾を引いた。
松尾さん: 2か月で忘れちゃうんです。英語は、継続して触れていないとダメですね。
過去問は、数学20年分・国語は品詞分解問題だけ・英語はゼロ
インタビュアー: これから受ける人に、一つ言うとしたら?
松尾さん: 一つ言うなら、過去問はもう全部解いたほうがいいです。
インタビュアー: 松尾さんは、どれくらい解いたんですか?
松尾さん: 数学は全部解きました。20年分です。国語は、品詞分解問題だけは全部解きました。これだけは、やれば解けるので。英語は何もしていないです。
インタビュアー: それは……。
松尾さん: ダメですよ、と(笑)。反面教師として使っていただければ。
PenBridge編集部より
松尾さんの英語の失敗は、苦手科目に時間を集めた結果、得意だと思っていた科目が手薄になった、というものでした。12月から2月までの2か月、ほとんど英語に触れなかったことで、本番では手が止まってしまいました。合格はできましたが、そのときの感覚は「自分は英語ができない」という思い込みになって、女子高の3年間残ったと松尾さんは話します。
インタビューの中で印象に残ったのは、家庭教師の先生に「英語は大丈夫です」と答えていた場面です。受験生本人の「大丈夫」は、本人が正直に答えていても、実際の得点とずれることがあります。直前期に苦手科目へ時間を寄せるときも、ほかの科目の過去問を時間を計って一度解いておけば、そのずれに本番の前に気づけます。
前回の「宝くじ」の話に重ねると、当たる可能性を上げる準備には、苦手科目を埋めることと同じくらい、どの科目も手放さないことが含まれていました。松尾さん自身が「反面教師に」と話してくれたこの経験を、直前期の計画を立てるときに思い出してもらえればと思います。
