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科目別対策

「数学は、通貨が違うんです」。公立入試の数学が得意だった松尾さんが、慶應女子の数学で20年分の過去問を解くまで

神奈川の公立入試の数学はできたのに、私立の高校入試の数学になると手が止まった。松尾さんはその違いを「通貨が違う」と表現します。苦手に気づいたきっかけ、家庭教師と数学だけに絞った2か月、20年分解いた過去問の話を聞きます。

2026.10.27慶應義塾女子高等学校
冬の光が差す机に、使い込んだ過去問や付箋、鉛筆、湯気の立つマグカップが並ぶ淡い水彩風イラスト

前回、松尾さんは公立に向けた勉強と女子高の対策を「全然違う」と話していました。中でも違いが大きかったのが数学です。

公立入試の数学は得意だったのに、私立の高校入試の数学になると、手が止まる。松尾さんはその違いを「通貨が違う」と表現します。中3の12月に第一志望を女子高に変えてから入試までの2か月、家庭教師と取り組んだのは数学だけでした。

連載第2回は、慶應女子の数学の話です。

話し手:松尾さん(仮名) 聞き手:インタビュアー / PenBridge

公立の数学は「学校の延長」

インタビュアー: 公立の数学と女子高の数学は、何が違うんですか?

松尾さん: 公立のほうは、学校でやっていることの延長なんです。学校でやっていることが、ちょっと難しくなっているだけ。でも女子高は、学校の勉強だけでは絶対に解けないような問題が出ます。女子高というか、私立の高校受験専用の数学みたいなものがあるんです。

インタビュアー: 専用の数学、ですか。

松尾さん: 学校では習わないけど、高校受験だと当たり前になっている公式とか、知識とか。だから、専門の塾ができるくらいなんです。

インタビュアー: それで「通貨が違う」。

松尾さん: はい。高校受験専用の通貨がある感じです。必要な知識が違うんです。

苦手だと気づいたのは、塾高の過去問だった

インタビュアー: 女子高の数学が苦手だと気づいたのは、12月ですか?

松尾さん: 12月に急にわかったわけではなくて、前から自覚はありました。公立の数学はできていたんですけど、私立の高校受験のフィールドになると、ちょっと……。

インタビュアー: 公立中心の塾でも、私立の問題に触れる機会があったんですね。

松尾さん: ありました。神奈川の公立を目指していても、一応、私立の勉強もするんです。男子校の慶應義塾高校(塾高)の過去問を解いてみましょう、みたいな時間があって。そこで、数学はちょっとわからないな、というのはありました。

インタビュアー: 学校の数学でつまずいていたわけではないんですよね。

松尾さん: 学校の勉強はできていました。

インタビュアー: それなら、数学の考え方そのものが苦手というより、私立の問題の型に慣れていなかっただけかもしれませんね。

松尾さん: はい、慣れていなかったのもありますし、私立の入試問題の中でも女子高の数学は特別クセがあると言われていました。

家庭教師と、数学だけの2か月

インタビュアー: 家庭教師の先生とは、数学だけに絞ったんですよね。

松尾さん: はい。数学だけが本当に不安で。

インタビュアー: どんな進め方だったんですか?

松尾さん: 先生が用意してくれた女子高向けの問題を、2か月間ひたすら解いていました。

数学だけ、過去問を20年分

インタビュアー: 過去問はどれくらい解きましたか?

松尾さん: 数学は全部解きました。20年分です。

インタビュアー: 20年分も。

松尾さん: 数学だけは、とにかく全部やりました。

インタビュアー: 本番の数学はどうでしたか?

松尾さん: すごくよかったです。試験のあと塾で自己採点をしたら、数学はかなり取れていました。

インタビュアー: やればできる、ですね。

松尾さん: やればできますね(笑)。

インタビュアー: ただ、本番の数学は、それまでの過去問と少し形が違っていたそうですね。そこは第4回で、運の話と一緒にじっくり聞かせてください。

PenBridge編集部より

松尾さんの言う「通貨が違う」は、公立入試に向けた勉強の延長では届かない部分がある、という実感です。学校では習わないけれど、私立の高校入試では知っている前提になっている解き方や知識があります。

松尾さんが自分の苦手に気づいたのは、公立中心の塾で、塾高の過去問を解いた時間でした。女子高を第一志望にしていない時期でも、私立の過去問に一度触れておくと、自分の勉強がそのまま通じるかどうかを確かめられます。松尾さんの場合、その自覚が、12月に家庭教師を頼む判断につながっていました。

数学だけで20年分の過去問を解いたのは、松尾さんにとって、苦手を正面から埋める作業でした。一方で、本番で数学がよくできた理由は準備だけではなかった、と本人は振り返ります。第4回で、本番の出題と「運」について聞きます。

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