スポーツ推薦で、最上位の特待生になる。渡邉さんの高校受験は、その前提で進んでいました。ところがスランプの中で大事な大会に負け、提示された特待のランクが下がります。
下がったランクを受け入れるか、悔しさを競技で晴らすか。普通ならこの二択のところ、渡邉さんは別の道を選びました。勉強の成績で、スポーツ推薦より上の特待を取る。連載第2回は、悔しさから始まった高校受験と、それを支えた少し変わった塾の話を聞きます。
なお、特待制度の名称や基準は学校・年度によって異なります。本記事は、渡邉さんが受験した当時の体験談としてお読みください。
話し手:渡邉さん 聞き手:インタビュアー / PenBridge
スポーツ特待のランクが下がった
インタビュアー: 特待生の話は、最初からあったんですか?
渡邉さん: もともとはテニスの成績で、いちばん上の特待をもらえる予定だったんです。でもスランプで、大事な大会で勝てなくて。「いちばん上ではなく、下のランクの特待で」と言われてしまいました。
インタビュアー: それは悔しいですね。
渡邉さん: ムカついたので(笑)、勉強で取ることにしました。その学校には、スポーツ推薦の特待とは別に、入試の成績による特待があって、学業のほうは最上位のランクまで狙えたんです。
目安は、5科目で平均86点以上
インタビュアー: 学業の特待には、どのくらいの成績が必要だったんですか?
渡邉さん: 5科目の入試で、たしか平均86点以上、合計430点以上くらいが目安だったと思います。
インタビュアー: 受かるか落ちるか、という受験ではなかったんですよね。
渡邉さん: そうですね。その高校はコースの幅が広くて、入ること自体はできる。スポーツ推薦の話も残っていたので、「どのランクの特待を取れるか」の戦いでした。ただ悔しかったから、それだけです。
「いつでも行っていい塾」が、自分に合っていた
インタビュアー: 受験勉強は、どうやっていたんですか?
渡邉さん: これがすごく良くて。中学校と家の中間くらいの場所に、個人経営の「いつでも行っていい塾」があったんです。決まった授業があるわけではなくて、学校帰りにそのまま寄って、わからないところを先生を捕まえて聞きまくる。半分自習みたいな使い方です。
インタビュアー: 授業型の塾ではなく。
渡邉さん: テニスがあるので、決まった時間の授業は受けられないんです。いつでも行けるから、隙間時間で通える。それが自分にはすごく合っていました。中学校のすぐ近くだったので仲のいい友達も通っていて、一緒に遅くまで勉強していました。
過去問は自分で買って、自分で解いた
インタビュアー: 過去問などの対策はどうしていましたか?
渡邉さん: 普通に自分で買って、自分で解いていました。わからないところだけ塾で聞く、という感じです。
インタビュアー: 科目では、何がいちばん得意でしたか?
渡邉さん: 英語です。中学時代に海外遠征があって、英語塾にも通っていたので。ただ、当時は読み書き中心で、話すのは全然できなかったです。
PenBridge編集部より
落ちる心配のない受験で、なぜそこまで勉強するのか。理由は「悔しいから」、それだけでした。動機としては、それで十分だったのでしょう。
ただ、悔しさだけで机に向かい続けるのは難しいものです。それを受験本番まで支えたのは、勉強の仕組みのほうでした。決まった授業がなく、いつでも寄れる塾。通う時間が固定されていないから、部活のあとの隙間時間を使える。友達がいるから続く。わからないところだけを質問するから、短い時間でも密度が上がる。決まった時間に通塾できない部活生にとって、これ以上ない組み合わせです。
ここから、塾選びの順序を引き出せます。カリキュラムの評判から入るのではなく、「この子の生活の中で、いつ、どこでなら勉強できるのか」から逆算する。部活や習い事で忙しい子ほど、この順序の差が結果に響きます。
なお、特待制度のある学校では、スポーツ推薦と学業特待の両方を視野に入れると選択肢が広がります。名称も基準も学校ごとに違うので、募集要項や説明会で確かめる項目に加えておいてください。
