大学に合格した後、多くの新入生が考えるのが住まいです。
実家から通うのか、アパートで一人暮らしをするのか、学生寮に入るのか。通学時間や家賃、生活のしやすさを基準に決める家庭も多いでしょう。
総合型選抜で慶應義塾大学SFCに合格した小野田さん(仮名)が選んだのは、キャンパスに隣接する学生寮、Η(イータ)ヴィレッジでした。
理由は、単に学校に近かったからではありません。
「面白い人たちが集まるなら、その環境にずっといたいと思ったんです」
一人暮らしでは、大学と家が別々の場所になります。しかし寮に住めば、授業が終わった後も、同じ大学で学ぶ仲間との生活が続きます。
今回は、小野田さんにイータヴィレッジの生活と、あえて共同生活を選んだ理由を聞きました。
話し手:小野田さん(仮名) 聞き手:インタビュアー / PenBridge
一人暮らしでは、学校と家が分かれてしまう
インタビュアー: 合格後、どうして学生寮に入ろうと思ったんですか?
小野田さん: 合格が出た後、住む場所を探し始めました。
一人暮らしも選択肢にはありました。でも、一人暮らしをすると、学校は学校、家は家と分かれてしまうと思ったんです。
SFCのような面白い環境に行けるなら、その中にできるだけ長くいたいと思っていました。
インタビュアー: 授業を受けるだけではなく、生活そのものを大学の中に置きたかった。
小野田さん: そうですね。
寮に入ろうと考える人たちも、たぶん同じように「人と関わりたい」「大学生活を生かし切りたい」と考えていると思いました。
そういう人たちと暮らしたら、絶対に面白いだろうなと。当時、自分たちはイータヴィレッジの2期生だったので、新しい環境を一緒につくっていく感じもありました。
5人で一つのユニット。それでも寝る場所は個室
インタビュアー: 実際には、どのような部屋で暮らすんですか?
小野田さん: 基本は5人で一つのユニットになっています。
ただ、寝る部屋はそれぞれ個室です。5人で使うユニットリビングがあって、トイレや水回りもユニットごとにあります。
キッチンは、複数のユニットで使う共用スペースにありました。
インタビュアー: 完全な相部屋ではなく、個室と共同生活の両方がある。
小野田さん: そうです。一人になりたいときは自分の部屋に戻れますし、誰かと話したければリビングや共用部に行けます。
ずっと同じ空間にいなければいけないわけではないので、思っていたより暮らしやすかったです。
インタビュアー: 小野田さんは、どの建物に住んでいたんですか?
小野田さん: バジル・ハウスです。自分がいたときは男子の建物でした。
ほかにもパプリカ、ターメリック、ローズマリーという居住棟があって、ソルト・ハウスという共用の建物がありました。
建物の名前がスパイスやハーブになっているのも、SFCらしくて面白いですよね。
同じユニットに、留学生と帰国生がいた
インタビュアー: 同じユニットの5人は、どのようなメンバーでしたか?
小野田さん: 自分のユニットは、かなり国際的でした。
韓国から来た留学生や、アメリカからの帰国生などがいました。海外で暮らした経験を持つ人もいて、自分を含めて、日本だけで育った人の方が少なかったと思います。
インタビュアー: 部屋では何語で話していたんですか?
小野田さん: 自分のユニットは、たまたま全員が日本語を話せたので、日本語でした。
ただ、寮全体で見ると英語を中心に話す人もいました。普通に大学に通うだけでは、そこまで接点がなかったかもしれない人と、生活の中で関われるのは大きかったです。
インタビュアー: 同じ大学に通っていても、背景はかなり違う。
小野田さん: 違いますね。
だから、何気ない会話でも面白いんです。授業の話だけではなく、育ってきた環境や、将来やりたいことも違うので。
自由だが、無管理ではない
インタビュアー: 大学生の寮というと、かなり自由なイメージがあります。
小野田さん: 自由ではありますが、ルールはありました。
自分が住んでいた当時は、外部の人を入れられる時間が決まっていましたし、異性の居住区画への立ち入りにも明確なルールがありました。
電子キーで入館できる建物も管理されていました。自分が住んでいる建物には入れますが、ほかの居住棟に自由に入れるわけではありません。
インタビュアー: 防犯面もしっかりしていた。
小野田さん: そうですね。防犯カメラもありましたし、ルール違反があればきちんと注意されます。
寮の中では自由に交流できますが、誰でも好きな時間に出入りできる場所ではありませんでした。
キャンパスに近すぎて「あと5分寝られる」と思ってしまう
インタビュアー: キャンパスに近いことは、やはり便利でしたか?
小野田さん: めちゃくちゃ便利でした。
研究室や授業からすぐ帰れますし、誰かと話していて遅くなっても、帰宅時間を気にしなくていいです。
ただ、近すぎるので、「あと5分寝られる」と思って、結局ギリギリに出ることもありました(笑)。
インタビュアー: 通学時間が短いから、必ず余裕ができるわけではない。
小野田さん: そうなんです(笑)。寮の人たちも、結構ギリギリにキャンパスへ向かっていました。
それでも、授業だけでなく研究や友人との時間に使える時間は、かなり増えたと思います。
PenBridge編集部より
大学の住まいを考えるとき、通学時間、家賃、部屋の広さといった条件は重要です。
しかし、小野田さんがイータヴィレッジを選んだ理由は、条件の比較だけではありませんでした。
「どのような人たちと、大学生活のどれだけの時間を共有したいか」
その視点で住まいを選んでいます。
個室があり、一人になる時間は確保できる。一方で、部屋を出れば、同じ大学で学ぶ仲間がいる。留学生や帰国生とも、特別な交流プログラムではなく、日々の食事や会話を通じて関係が生まれていく。
さらに、外部ゲストや居住区画に関するルール、電子キー、防犯カメラなど、共同生活の自由を支える仕組みもありました。
保護者にとって、寮生活には不安もあるでしょう。しかし、適切なルールとプライバシーが確保された環境であれば、寮は単なる住居ではなく、学生が自立し、他者と暮らす力を身につける学びの場になります。
大学で過ごすのは、授業時間だけではありません。
授業が終わった後、どこへ帰り、誰と話し、どのような刺激を受けるのか。イータヴィレッジは、その時間まで含めてSFCで学びたい学生にとって、魅力的な選択肢と言えそうです。
