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授業・勉学

「大学の研究より大変だったかもしれない」慶應普通部のレポート文化と労作展

3年間書き続けるレポート、年に一度の労作展、中3の選択授業。慶應普通部ならではの学びの文化を戸倉さんに聞きます。

2026.07.09慶應義塾普通部
明るい部室の窓辺で、二人の学生が手作りの無線機を一緒に試す和紙コラージュ風のイラスト

「一貫校に入ると、受験がないから楽」。そんなイメージを持つ方は少なくないかもしれません。

しかし、慶應普通部から塾高を経て、現在は大学院で研究を続けている戸倉さん(仮名)は、普通部時代を「今の研究活動より、普通部のレポートの方がきつかったかもしれない」と振り返ります。

受験のない一貫校で、生徒は何にそれほどの力を注いでいるのか。普通部の学びの文化について聞きました。

話し手:戸倉さん(仮名) 聞き手:インタビュアー / PenBridge

授業は「普通」。ただし、レポートの量が違う

インタビュアー: 普通部の授業は、どんな雰囲気なんですか?

戸倉さん: 中2までは、いわゆる一般的な中学校の授業に近いと思います。ただ、レポートの量が全然違います。3年間、常に何かのレポートを書いている感じでした。

インタビュアー: 「常に」というのは、どのくらいの量なんですか?

戸倉さん: 積み重ねると、かなりの束になります。正直、忙しさでいえば、今やっている大学院の研究活動と同じくらいだったかもしれません(笑)。普通の私立の大学生より、よっぽど書いていたと思いますよ。

3年分のレポートは「パスポート並みに大事」

インタビュアー: 書いたレポートは、どうするんですか?

戸倉さん: 学年ごとにバインダーに綴じていって、最後に学校に提出します。だから、なくしてしまうと大変なんです。僕たちの間では、海外に行くときのパスポートくらい大事なもの、という扱いでした(笑)。

インタビュアー: 提出できないと、どうなるんですか?

戸倉さん: 卒業に関わる、と言われていました。入学したときからそう伝えられるので、みんな本当に大切に保管していましたね。

インタビュアー: 受験がない分、書くことにしっかり向き合わせる文化なんですね。

戸倉さん: そうだと思います。逆に言うと、大変だったのはレポートくらいで、それ以外がめちゃくちゃ厳しい学校というわけではないです。

労作展 — 年に一度、全員が「作品」を出す

インタビュアー: 普通部といえば、労作展も有名です。

戸倉さん: 年に一度、一人ひとりが作品や研究を出して、2日間展示するんです。部活単位で出すものもあったかもしれませんが、個人の出品は必ずあります。来場した人が展示を見て回る、けっこう大きな行事です。

インタビュアー: テーマは自由なんですか?

戸倉さん: かなり自由です。だからこそ、何をどこまでやるかは本人次第で、毎年けっこうな熱量で取り組む行事でした。

中3になると、大学のような選択授業がある

インタビュアー: 授業の仕組みで、特徴的だったことはありますか?

戸倉さん: 中3になると、選択授業が入ってくるんです。習字のような講座もあれば、語学もあって、僕はスペイン語を取っていました。中学生でスペイン語を選べる学校は、なかなかないと思います。

インタビュアー: 大学の履修みたいですね。

戸倉さん: 感覚としては近いと思います。外部から先生が来てくださる講座もあって、毎週土曜日に通年でやっていました。

インタビュアー: 土曜日も授業があるんですね。

戸倉さん: ありました。それと、内部進学だからといって進級が自動というわけではなくて、学業がしっかり見られる学校でもあります。だから「受験がない=勉強しない」ではないんですよね。

PenBridge編集部より

「一貫校は受験がないから楽」というイメージとは対照的に、普通部の3年間には、レポートと労作展という独自の負荷があります。大学院で研究をしている本人が「あちらの方がきつかったかもしれない」と笑うほどの量です。

ここで問われているのは、テストの点数ではなく、調べる力・書く力・形にする力です。テーマを決め、資料にあたり、文章や作品としてまとめ上げる。この訓練を中学の3年間で積み重ねられることは、受験勉強とはまた違う、一貫校ならではの財産と言えるでしょう。

一方で、保護者の立場から見ると、この文化には注意点もあります。レポートや作品制作は、定期テストのように点数で進捗が見えるものではありません。締め切り前に慌てていないか、テーマ選びで止まっていないか。学校生活が順調かどうかを測る物差しが、受験学年とは違うところにあります。

内部進学でも学業はしっかり見られます。「入学したら終わり」ではなく、入学後の学びの様子に関心を持ち続けることが、一貫校の保護者には求められます。

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