中学受験塾には、独特の緊張感があります。
クラス分け、席順、テストの順位、志望校別講座。小学生でありながら、子どもたちはかなり早い段階から「成績で見られる世界」に入っていきます。
家谷さんが通っていた塾でも、競争は日常の中にありました。一方で、その競争はただ苦しいだけのものではなく、同じように受験をする仲間と出会う場所でもあったと言います。
今回は、家谷さんに中学受験塾での生活を振り返ってもらいました。
話し手:家谷さん 聞き手:インタビュアー / PenBridge
入塾時からクラス分けがある
インタビュアー: 中学受験塾に入ったとき、最初からクラス分けがあったんですか?
家谷さん: はい。入塾時にテストがあって、そこでクラスが分かれます。確か5つくらいクラスがあったと思います。
一番上のクラスにいる子たちは、学校の勉強は当然できている前提です。塾では、学校よりも先の内容や、中学受験特有の問題をやっていくので、そこに対応できるかどうかが大事でした。
インタビュアー: 学校とは完全に別の世界ですね。
家谷さん: そうですね。学校の成績が良いだけではなく、中学受験の問題に対応できるかどうかが見られる世界でした。
席順にも成績が反映される
インタビュアー: 中学受験塾というと、競争が激しいイメージがあります。
家谷さん: 競争はありました。例えば、生徒番号のようなものでも順位が分かることがありました。「自分はこの校舎で何番なんだ」と分かるような感じです。
あと、座る位置も成績順でした。前の方に座っている人ほど成績が良い。だから、どこに座っているかで、ある程度その子の位置が分かるんです。
インタビュアー: 小学生にとっては結構シビアですね。
家谷さん: そうですね。定期的にクラス替えもあります。後ろの方に座っていた子が下のクラスに移ったり、逆に下のクラスから上がってくる子もいる。そういう入れ替わりがあるので、自然と競争意識は生まれます。
上位にいることは、自信にもなった
インタビュアー: 家谷さん自身は、成績面ではどうだったんですか?
家谷さん: 当時は結構できていた方でした。上位にいることも多かったと思います。
インタビュアー: それはモチベーションにもなりましたか?
家谷さん: 多少はあったと思います。小学生なので、細かいことをどこまで理解していたかは分かりませんが、自分が上の方にいるという感覚はありました。
インタビュアー: プレッシャーよりも、できている感覚の方が大きかった?
家谷さん: 自分の場合はそうだったと思います。もちろん、焦りがまったくなかったわけではありません。でも、塾で上の方にいられていることは、ある意味で自信にもなっていました。
テストで全国順位が出る
インタビュアー: テストも多かったんですか?
家谷さん: 多かったです。単元ごとのテストがあったり、何ヶ月分かをまとめて確認するテストがあったりしました。
大きなテストになると、全国順位のようなものも出ます。上位者が分かるような仕組みもあって、かなり競争の要素はありました。
インタビュアー: 小学生の段階で、かなり受験生らしい環境にいるんですね。
家谷さん: そうですね。ただ、子どもなので、全員がそこまで深刻に受け止めているわけではなかったと思います。なんとなく「受かったら未来が明るいらしい」と親に言われて、それを信じて頑張っているような部分もあります。
塾の友達とは意外と仲良くなる
インタビュアー: 競争があると、友達関係はどうなるんですか?
家谷さん: 意外と仲良くなります。小学生なので、すぐ仲良くなるんですよ。
塾には週4、週5くらいで行っていたと思います。毎回3時間、4時間一緒にいるので、自然と友達になります。今でも少し連絡を取っている子もいます。
インタビュアー: 競争相手でもあり、仲間でもある。
家谷さん: そうですね。同じクラスにいても、志望校が完全に重なっているわけではないので、そこで直接競っているという感じでもありませんでした。自分は慶應を見ていましたし、別の子は別の学校を目指していたり、それぞれの目標がありました。
競争環境が合う子、合わない子がいる
インタビュアー: こういう競争環境は、誰にでも合うと思いますか?
家谷さん: 人によると思います。自分の場合は、上の方にいられたこともあって、前向きに受け止められていたと思います。
でも、順位やクラス替えが見えることで、焦ったり落ち込んだりする子もいると思います。そこは子どもによって違うんじゃないでしょうか。
インタビュアー: 保護者が見るべきなのは、成績そのものだけではない?
家谷さん: そうですね。成績ももちろん大事ですが、子どもがその環境でどう感じているかは大事だと思います。
PenBridge編集部より
中学受験塾の競争は、保護者にとっても子どもにとっても大きなテーマです。
成績順の席、クラス替え、全国順位。こうした仕組みは、子どものやる気を引き出すこともあれば、プレッシャーになることもあります。
家谷さんの場合は、成績が上位にあったこともあり、塾の競争を比較的前向きに受け止めていました。しかし、すべての子どもが同じように感じるわけではありません。順位が見えることで頑張れる子もいれば、萎縮してしまう子もいます。
大切なのは、競争そのものを良い悪いで判断することではなく、その子がどう受け止めているかを見ることです。
また、成績表の数字だけでは、苦手単元、解き方の癖、家庭学習の質までは見えにくいものです。集団塾のテスト結果をどう読み取り、次の学習にどうつなげるか。そこを整理する個別のサポートがあると、競争環境の中でも子どもに合った学習方針を立てやすくなります。
塾は競争の場であると同時に、同じ目標を持つ仲間と出会う場でもあります。その環境を活かすためにも、保護者は成績だけでなく、子どもの気持ちや学習の中身に目を向けることが大切です。
